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2014年6月22日 (日曜日)

実質的に終わってしまった日本にとってのW杯を早々と総括してみる

今回のサッカー日本代表のグループリーグ第2戦までの戦いは「期待通り」なのか「期待外れ」なのかは人によって異なるだろうが、ベスト8だベスト4だ優勝だというあまりにも楽観的(能天気)な見方をした人からすれば期待外れなのだろう。

私は初戦に勝つか引き分けることが出来れば、グループリーグ突破の可能性もあるが、決勝トーナメントの相手が「死のD組」から出てくることを考えると、ベスト8は正直苦しいだろう、と予想していた。

もっともそのD組からコスタリカが出てくることまでは、恐らく世界中の大多数と同様考えてもみなかった。実際直前の親善試合で日本と対戦した時まではコスタリカの躍進を信じた人は、同国関係者以外にはいなかったと思う。

これまでの4年間でうすうすと感じていたことが、本番の試合を経験したことで確信につながった面があるので、どうせ影響力などみじんもないが(笑)、今後のために記録しておくことにする。久々のブログ記事更新である(苦笑)。

1.発動されてしまった法則
誰の目にも明らかだが、これまでの4大会、日本はGL敗退、ベスト16、GL敗退、ベスト16と交互に成績の山がある。フランスも似たようなものだが、この法則が発動されないことを願っていたがダメだったようだ。しかもベスト16に進出した時の初戦は1勝1分けだが、GL敗退の時は初戦黒星である。

もう1つ法則があった。それは監督である。GL敗退の時の監督はW杯初体験なのである。98年の岡田武史と06年のジーコ。対してベスト16進出の時は02年のトルシエ(途中で解任されたが南ア代表監督を経験している)と10年の岡田武史。そして今回のザッケローニは代表監督初体験の人である。

経験の無さは、劣勢に立った時、試合終盤で追い込まれた時の対応に如実に出る。98年の岡田武史は自身もアジア予選途中で加茂周の代わりに引っ張り出され、日本代表そのものが初出場で世界レベルになかったというハンディはあるものの、初戦、2戦とも0-1で負け。得点をして引き分けに持ち込むか、最初からガチガチに守って0-0に持ち込むことができなかった。ジーコに関しては、現役選手の時の輝かしい実績や総監督、テクニカルディレクターとして果たした鹿島アントラーズに対する多大な貢献を横に置けば、悲惨の一言に尽きるだろう。選手の自主性を重んじると言えば聞こえは良いが、実際は中田英寿が王様のチームで方向性が定まらなかった。初戦の豪州戦で先制した後の戦い方が明確でなく、逆転を許してしまったのが全てである。全盛期だった高原直泰が血栓症で出場できなかった不運はあるけれど。

2.そしてザッケローニ
人柄の良さ、親日家になってくれた点というサッカー以外の高評価はともかくとして、日本の良さを活かした組織的で俊敏な攻撃的なサッカーを標榜したことは評価してよいと思う。決定力不足が長年の課題だった日本代表がこの4年間でそれを克服しつつあるように思えた。少なくとも13年のコンフェデ杯や秋の欧州遠征でのオランダ、ベルギー戦、そして今回の直前の親善試合の3試合を見れば期待が持てた。

だが、アジアカップ、アジア予選や東アジア大会、負けた親善試合などを見ていて気になったのは、選手交代のダメさである。6人の交代枠がある時は上手く使うことがあっても、公式戦で3人の交代枠になると、意図の不明な交代をしたり、交代のタイミングが遅かったりというのが気になっていたのである。

遠藤が途中交替した時に試合の流れを変えて好成績を収めたという最近の傾向があり、長谷部が長期離脱から復帰したこともあり、なんと本番では長谷部先発、後半に遠藤と交代というのがお決まりになってしまい、3人の交代枠が実質2人になってしまった。ギリシャ戦ではそのうちの1枠しか使っていない。こんな交代をするのなら何故青山敏弘をえらんだのだろうか。そしてあの試合、最後の1枠にドリブラーの斎藤学を使って欲しかったと思うファンも少なくないと思う。

今回、上手く選手交代を使って結果を残しているチームが多いことを考えると、今後は的確な選手交代というのが代表監督に一層求められるのだと思う。ザッケローニは残念ながらその資質に欠けているようである。

本番で非難を浴びている追い込まれた終盤でパワープレーに走る点だが、これは選手選考を見た時に「ああ、ザッケローニは空中戦を捨てたな」と誰もが思ったのに、である。終盤のパワープレーは当然の選択肢という意見もあるが、それなら豊田陽平か川又堅碁あたりを選んでおくべきだったろう。それ以外にも選手のポジションなどで迷走が見られる。岡崎、大久保、香川の起用に関して顕著である。

お得意の3-4-3のシステムが定着していれば戦い方の幅も広がったのだろうが、この点についての総括もすべきだろう。もっとも私は90年代のイタリアサッカーに詳しくないので調べてみたら、これが成功したのはウディネーゼとACミランのみであり、しかもビアホフという選手がいたからだ、という評価である。4-2-3-1とシステムこそ違え日本代表でザッケローニが本田圭佑中心のチームをつくったのは偶然ではないのかもしれない。

今日のニュースでは、ストレスから解放するために、予定していた練習を中止して休息日に当てるということである。これも上手く行けばよいが、コロンビア戦で結果が出なければ思いつきに過ぎないということになる。上手く行かなかった場合の対応も予め想定しておくべきだった。

彼は融通の利かないタイプのようだが、それでいて危機に直面するとパニックに陥って自身の脳が混乱を来すようである。冷静な危機管理能力も次の監督には求めたい。

3.JFAのサポートは的確だったのか。
泥沼と言えば今日か責任者である原専務が2戦終わった段階でザッケローニと話をしたというのも泥縄であるが、初戦の試合地であるレシフェのスタジアムを昨年のコンフェデ杯で経験したというところにそもそも慢心があったのではないか。

今回、初戦、2戦目とも雨中の試合である。芝の長いという南米のスタジアムはパスサッカーに不向き(スペインも苦戦した)な上に雨まで降ってはかなり苦しい。蒸し暑さは予想していたようだが、雨対策まで考えていたのだろうかという疑問がわく。

そしてキャンプ地と移動距離である。鹿児島とフロリダで暑さ対策をするので、拠点は涼しくてもよいということのようだが、本当にそれで上手く行ったのか。長距離の航空機の移動で選手が疲労しているという報道があるが、レシフェとナタウは比較的近く高温多湿なのに、わざわざ何千kmも移動するのが本当によかったのだろうか。それも初戦に勝利していれば苦にならなかったのかもしれないが、結果がついてこなければ長距離の移動や気候の変化は心身共にダメージとなる。

キャンプ地の選定に関して、JFAの大スポンサーであるキリンの工場があるから、という見方があるが、これに関しては正確な内部情報を持ち合わせていないので何とも言えない。ただ今回のように結果がついて来なかった時に、こういう疑惑の目で見られないような公正な姿勢をJFAには持ってもらいたい。

初戦が大切ということでピークを持っていくという点に関しても、見ている限りでは上手く行っていないように見える。コートジボワールの日本対策の方が上回っていたのだろうが、そうだとすれば、情報戦や分析戦で敗北したことになる。ザッケローニとラムーシは師弟関係とのことだが、ラムーシの方が1枚上手だったようである。

4.日本選手のメンタル
今大会の日本代表の2試合を見て、低レベル、下手くそといった非難があるが、今季調子のよくなかった本田や香川はともかく、多くの選手が欧州で活躍しており、その批判は当たらないと思う。4年前と比較してもレベルは上がっているとみて間違いない。問題は他国も同様に進歩している点であり、今大会は疲労のためか欠場したスーパースターとは別に、ダークホースのような若手も出てきている。どうやら日本選手のメンタルが、レベルアップした技術や戦術、フィジカルを本番で発揮できないようにしていると思えるのである。模擬試験で良い点を取るのに本番の入試でダメな受験生みたいである。

初戦のコートジボワール戦を見ていれば明らかだ。前半16分に本田が先制し、その後も内田や本田が惜しいシーンがあった。しかしこれが決まらず前半30分あたりから守りに入ったのが明らかだった。初戦に勝ちたいという重圧からか、攻撃サッカーが影を潜めてしまった。こういう時、監督は攻めろというサインを出すはずであり、ハーフタイムでそういう指示はあったのかもしれないが、それで切った交代カードが長谷部→遠藤というちぐはぐさであった。同点にされた後の戦い方も明確でなかったようで、最後まで攻める姿勢があれば立て続けに失点することはなかったかもしれない(監督が選手交代のカードを切ってもよかったと思うが)。

パワープレーに関して選手達は「監督の指示だから従う」と言っているようだが、反旗を翻してパスサッカーを徹底してもよかったのではないだろうか。どうせザッケローニは今大会限りなのである。監督に逆らうのはよくないかもしれないが、理不尽な指示であれば従わずに最後まで自分たちの本来のあり方を貫き通すというメンタルがあってもいいのではないだろうか(そういう結果にならないような監督選びが第一であることは言うまでもないが)。

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