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2011年4月17日 (日曜日)

ほとんど詐欺に等しいミスリーディングな記事

再生可能エネルギー:原発を逆転 風力や太陽光発電などウェブ魚拓
こちらは産経新聞。
風力・太陽光エネが原発を逆転 福島事故で差は拡大へウェブ魚拓
共同通信の配信記事なので、地方紙にも出ている。例えば徳島新聞。
再生エネが10年に原発を逆転 米シンクタンクが報告ウェブ魚拓

わかっている人が読めばからくりは明白なのだが、要するに発電実績ではなく「発電容量」で比較している点がポイントであり、ミスリーディングなのだ。産経の記事にはグラフが出ているが、このグラフに至っては詐欺と断定してよい。紙面では毎日にも同様のグラフがあり、こちらも共同が作成したのだろう。

そうでなくとも、今回の福島第一原子力発電所の事故で、今すぐ原発を全部止めろ、代替エネルギーは風力や太陽光だ、と叫ぶ連中が続々と湧いて出てきている。

太陽光や風力などの所謂自然エネルギーは、見かけの容量と比較して実際にはその1〜2割程度しか発電しない。しかも電圧が不安定な上、太陽光に至っては悪天候の日や夜は使い物にならない。つまり3億8100万Kwというのは実際には7000万Kw程度の出力だと考えてよいだろう。

もちろんこれらのエネルギーは条件のよい場所に設置すれば補助的な電源としては利用できるし、太陽光などは中長期的な技術革新も見込めるので、将来的には一定の役割を担うことだろう。しかし今すぐに代替エネルギーとしてベース電力を担うことは出来ないのだ。IEAのデータを見てもEU内での電力の主力は石炭火力と原子力である。

グラフに至っては、あたかも風力や太陽光が有力なエネルギー源であるかのような錯覚を抱かせるが、あくまで増加分であり、しかも原子力発電所が多く設置された1980年代以前はカットしてある。つまり必要以上に風力を大きく見せかけ、原子力を小さく見せかけているのである。

今後の日本及び世界のエネルギーのあり方(中期的には原子力発電から脱却して次世代エネルギーに移行すべきだろうと私個人は考える)を考える上で、こういう記事は混乱の元にはなってもブラスになる点はない。ワールドウオッチ研究所は民間非営利の研究機関ということになっているが、それは政治的に中立であることを必ずしも意味しない。アメリカ大統領選挙がスタートしたこともあり、政治的ないし思想的な力が働いていると見るべきだろう。

Nuclear Power After Fukushima

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