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2009年11月15日 (日曜日)

亀はのろまどころか逆行しようとしている

郵政民営化について私の考えを述べて欲しい、という要望があったので、これに答えてみたい。
もっもと、専門的にこの問題について突っ込んで調べたわけではないので、あくまで様々な情報や事故の経験を元にした一つの考え方として捉えていただきたい。記憶違いや事実誤認などがあれば根拠とともにご指摘いただきたい。

まず、民営化以前、1990年代くらいまでの郵便局、特に特定郵便局について振り返ってみたい。
明治時代に郵便局のネットワークを全国に広げるために、各地の名士の自宅を郵便局として活用し、彼らを局長として任命した。

なお、郵便局に限らず、明治維新では、施設の有効利用が必要だったために、例えば武家の江戸屋敷が中央官庁に利用されたり、城郭が破却されて県庁や軍隊の駐屯地にしたり、といったことがあったことを想起して欲しい。その最大のものが江戸城を皇居に転用したことだが、当時の経済・財政事情ではやむを得なかった。

そのため、特定郵便局長は(形式的に任用試験はあったようだが)しばしば世襲となり、彼らは政権政党の集票マシンとなり、局舎の賃貸料が支払われ、渡しきりの交際費まで支給されていた(というのはかつての週刊誌記事がネタ)。賃貸料と交際費の合計は高い時で年間1100万円程度だったという。そういえば、かつて実家の近くの特定郵便局も(当時の局長は世襲ではなかったけれど)、優雅な暮らしぶりとのんびりした経営状態だった。1人女性で有能な局員がいて、彼女の能力でもっていたようなものだった。

郵貯の肥大化は、民業圧迫と批判されたが、批判した銀行サイドが送金の手数料の安さのために、郵便局を利用するというねじれた構造も存在した。これは郵便局が国営のため、課税対象になっていなかったことが一因として指摘されていた。

競争によるサービス向上という点では、ヤマト運輸の創業者である小倉氏が、一貫して郵政批判を展開していたことを記憶している方も多いだろう。今でも親書は郵便局の独占だったかな、それとポストの設置も。路上駐車の取り締まりが厳しくなった時も、当初郵便局の配達車が優遇されると批判されたことがあった。

要するに、国営の郵便局というのは「おかしな存在」だったのである。

そして、一番の焦点となった郵便貯金と財政投融資の問題である。
これは小泉内閣以前に制度改正がなされて、郵貯の金をジャブジャブと公共事業につぎ込むことはなくなった。財政投融資改正は小泉内閣の実績ではない(間違って捉えられていることが多い)が、大切なことは、財政投融資の改正でOKな訳ではなく、上記のようないびつな構造を改め、物流・通信ネットワークや金融に自由な競争を持ち込み、小さな政府を指向する、という行財政改革、ひいては日本社会のあり方を変える、という争点を郵政民営化が象徴していた、ということである。

はっきり言って、宅配の荷物の取り扱いについては、現在では郵便局(ゆうパック)の方が優れている。
縦・横・高さ合計60cm以内の小さな荷物についてみると、同一都道府県内では600円、持ち込みと同一宛先割引を適用すれば450円である。これに対してヤマト運輸の宅急便は640円、持ち込みをしても100円引きである。私の場合は、会社で契約しているのでこれが470円だが、それでも同一の送り先であれば郵便局の方が20円安い。宅急便の場合関東以外でも470円で届けてくれる地域があるので、トータルで見ればこちらの方が安くなるのだが、宅急便は19時で集荷がお終いである。郵便局であれば24時間受付をしているので(たまたま集配局が徒歩数分の所にあるという立地条件はあるけれど)、いざとなると郵便局を頼ることになる。

これらは郵政公社時代に既に達成されていたが、民営化をにらんでのことであり、国営時代には考えられなかった。というか国営時代が酷かったから、宅配便が成長したと言っていい。少額小為替が実質的に廃止されたのは不便と言えば不便だが、利用実態を考えればいたしかたないだろう。

郵便配達は主要国でも国営である、ドイツなどは民営化したが戻した、ということも言われる。
しかしそれは郵便事業の骨格の話であって、特定郵便局の利権など細部、個々の運用問題が日本と同一ではあるまい。むしろ民間の宅配便が成功している日本で、国営化でない親書・物流のネットワークが構築できれば、それは一つのモデルケースとなるのではないか。海外の事例というのはしばしば論者の主張によって、手本にされたり無視されたりと適当な扱いなのである。

郵貯に関しては、300兆円という資金をアメリカに売り渡した、なとどいうアジテーションがなされるが、そんな実態がどこにあるのか。民営化以前にアメリカの金融関係者が、郵政民営化に期待する発言をしていたようだが、それが事実としても、グローバル化した現在、資金運用を国内だけでまかなうことは全く持って非現実的である。郵貯以外の他の資金は海外には出て行っていないとでも言いたいのかな。
たまたま金額が巨大だったのと推進の中心に竹中平蔵氏がいたから批判されたのだろうが、それは感情的な批判というものだ。竹中氏の行動には住民税逃れのようなものがあり、彼が全く私欲がなかったとは言えないかもしれないが、少なくとも小泉・竹中時代は景気はよかったのだ。私の会社は恩恵受けてないけどね。むしろ公共事業削減で仕事は少なくなった。でも、それは時代の流れなのでしかたのないことだ。

小泉改革が地方を疲弊されたと言うけれど、それは地方が過度に公共事業依存体質だからだろう。
民主党の現政権の事業仕分けでも、交付金などは地方から反発が出ている。自民党政権だけの問題ではないのだ。

簡保の資金とサービスも同様に、国営時代は民間との競争が不公平で、かつ資金運用の適正さが問われたと言っていいだろう。かんぽの宿問題については笑止千万である。オリックスと住友に疑惑があることは認めよう。どっちの会社も私は好きではない。好きではないけれど、あれ以外にどんな結末があったというのだろうか。批判はその答えを出していない。それはそうだろう。そんなによい条件で引き受けてくれるような会社が今の日本にどれだけあるのか。郵政民営化見直し派はかんぽの宿をシナ資本にでもくれてやる気かね。そうだとすれば、郵貯の資金をアメリカに渡すのはけしからんなんて言えなくなるよな。

亀井大臣は良くも悪くも古い自民党の体質を引きずっているが、それゆえに1980年代以前に戻したいのだろう。当時は「オザーリン主席」(小沢一郎民主党幹事長のことね(^_^;))も自民党の権力の中枢にいた。
1955年体制を支えたばらまき政治が「政権交代」の名の下に行われようとしているが、「郵政再国営化」はそのための国債調達の最強かつ最終的な手段なのだろう。郵便局を利用して年金記録の記帳などワンストップサービスを実現するなんてのは、厚生労働省と総務省の利権が肥大化するだけで、それこそ税金をつぎ込んだ壮大な無駄だ。

山間僻地の生活を守る砦だとも言われるが、それこそ「赤字なら廃止」という事業仕分けにかけたらどうなるのかな。郵便局は別というのならそれは単なるダブルスタンダードだ。今やその山間僻地そのものの維持が困難になっている。いや、日本の財政がデフォルトしているかもしれない。郵政を国営に戻して特定郵便局だけが限界集落に残った、などという笑えない笑い話が100年後、いや50年後にはなされているかもしれない。残念なことに私自身にそのことが確かめられそうもない。

小選挙区制だからしかたないが、47%の支持率にすぎない政党が、朝令暮改のように制度を弄び、国家財政を破綻に導くのは許されない。

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コメント

鳩山由紀夫がいかにごまかしの言い訳をしても、斎藤次郎は明らかに天下り・渡りである。
天下り・渡りを問題にしてきた民主党が自ら天下り・渡りをさせるわけであるから、鳩山由紀夫は責任を取るべきである。
民主党政権は異様な特異体質であり、亀井静香や千葉景子などの炎症を起こしたアキレス腱が多い。
鳩山・亀井・斉藤の社会主義国営の郵便局は決して使わず、
その代わりにコンビニ、ヤマト運輸、銀行、信託銀行、保険会社及び証券会社等を利用しよう。
そして、官営郵政を完全に衰退させて、預金等が国債の購入に使われないようにしたい。
国債の利払いは約10兆円になっており、税収の2割を超えている。

投稿: 民主党の渡り人事 | 2009年11月15日 (日曜日) 08時11分

今年度の税収は40兆円を下回る見通しですから、国債の利払いが10兆円を超えるようだと2割どころか3割に達することになりますね。

鳩山総理には「責任」という概念がそもそもないのでしょう。

投稿: フロレスタン | 2009年11月15日 (日曜日) 18時58分

熟読させていただきました。
ドン亀が自民党政調会長だった当時は、公的資金をジャブジャブに注ぎ込んだにもかかわらず一向に景気回復の兆しが見えず、時の宮沢大蔵大臣をして「国家破綻に近い」とまで言わしめた財務状況でした。
しかしその当時、ドン亀が常に口にしていた内容は「巨額の資金投入をしたからこの程度の状況で済んでいる」の繰り返しでした。確かにその内容自体を100%否定するものではありませんが、これってどう考えても開き直りでしょう。インタビュアがより詳細な検証を求めると、直ちに例の恐喝まがいの口調で話をすりかえるというパターンは当時も今も変りません。

最近でも「金は無尽蔵にある。どんどん使うべき」と言って憚らないのですが、一体どこにそんな金が無尽蔵にあるのでしょうか。

確かに現在の国家借金は対日本国民であり対外債務があるわけではないとは言え、それはあくまで個々人の資産です。
ドン亀の思考回路では「自分の金は自分の金、人の金も自分の金」とでもなっているのでしょうか。
昔の財投はもはや存在しないとは言っても、使途が国債にしか運用できない郵貯では実質的な意味合いは財投の頃と余り変らない。
斉藤次郎の社長就任も驚きましたが、筋金入りの守旧派と言ってもいい坂篤郎の副社長就任にもうんざり。これでいよいよ国民の金をまた政治家や官僚がジャブジャブ使っていく体制に戻りつつありますね。
昨日のサンプロで丹羽伊藤忠会長が、10月の指名委員会で西川社長の続投を確認したにも係らず罷免(辞任の強要)に到ったプロセスはコンプライアンス上も問題あると提起されていました。
むしろドン亀こそ職権乱用で罷免されて然るべきかと思います。
あーあ、それにしても鳩山にここまでイニシアチブがないとは。ドン亀と鳩山を見ていると、どちらが首相なのかと思わず問いたくなってきます。
早く自民と民主がリシャッフルして、まともな2大政党にならないかな。
日本の政治家や政党は数合わせばっかりして、理念の欠如が著しい。
今朝の新聞に出てたけど、亀政党と新党日本と平沼グループが一緒になることを検討しているらしいのですが、平沼赳夫と田中康夫が同じグループってどう考えてもおかしいです。

投稿: Fraternity | 2009年11月16日 (月曜日) 15時50分

>>Fraternityさん

亀は郵政・金融担当なのに、防衛問題あたりにも口出ししてますね。怖いものなしの我が物顔といった現状です。週刊誌の新聞広告では、「次期首相」なんて見出しも躍ってます。事業仕分けも財務省主導だし、財政破綻まっしぐらですよ、これじゃあ。

実態は衆議院3議席しかなくて、綿貫前代費用は代表の肩書きで落選し、党全体で前回よりも議席数を減らした、いわば国民の支持を得ていない政党です。おっしゃるように平沼グループや新党日本と合流という報道もありますが、党の実態はじり貧ということでしょう。

郵政民営化反対では平沼と亀は同じ路線のようですが、それ以外の政策を見ると同床異夢のような印象も受けます。所詮は野合に過ぎないと思いますが、民主党の勢力が大きすぎて、その陰でやりたい放題のようにも思えます。

投稿: フロレスタン | 2009年11月16日 (月曜日) 16時01分

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