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2009年8月12日 (水曜日)

民主党のマニフェストで賛成できないものを洗い出してみる

あくまで現状の自公政権は日本社会を改革する能力がない、という否定的立場に立った上で、それならば政権交代を主張している民主党の政策がどこまでまともなのかを論じてみようということである。当然であるが、私の個人的な考え方を反映しているので、かなりバイアスがかかっていることは間違いない(笑)。

マニフェストはこちらである。

5原則と5策は総論だからまあこんなものだろう。ここに書いてあることについて特に強い異論は私にはない。強いて言えば、これをちゃんとやろうとすると「それなりに大きな政府」が必要かもしれないな、という点が気になる。

まず「子ども手当・出産支援」と「公立高校の実質無償化(私立高校生にも相当額助成)」だが、我が家には関係ない。関係ないどころか、税制改正による各種控除の廃止で増税になる可能性が高い。金がない中やりくりして2人の子供を育てて、今まだ大学生という状況で増税くらったらたまらない。悪いが個人的事情でこの点については大反対する。ただし個人的事情とは書いたが、私と同じ立場の人は少なくないはずである。いきなり後ろから刺されるようなものだ。こういう生まれた年で幸不幸がわかれるという世代間不公平こそ今の日本社会の大きな問題なのだ。大学生にも返還不要な奨学金を支給すると言っているようだが、こちらはあまり具体的ではなく、しかも今借りている奨学金という名の教育ローンまで遡って給付化してはくれないだろう。

世代間の不公平に関しては、後期高齢者医療制度の廃止というのも納得しかねるポビュリズムである。
確かに説明不十分の見切り発車の制度だったのかもしれないが、だからこそこれを「姥捨て山」と囃し立てたメディアに隙をつかれたのであり、「国民皆保険を守る」というなら、現役世代の負担を減らす道筋をつけてくれなければ、単なる目先の票ほしさの戯言にすぎない。「自公政権が続けてきた社会保障費2200億円の削減方針は撤回する」のであれば、どうやって医療費の増大を抑制するのか。「質の高い医療サービスを提供する」といっても、現役世代が負担にあえいだのでは意味がない。医師会や薬剤師会などの既得権益者をどう扱うつもりなのだろうか。

「年金制度の改革」。もはや廃止するしかないだろう。新たな制度の決定と書いてあるが、それなら何故来年度から2カ年かけて記録問題への集中対応期間など設置するのか。これは税金や年金原資の無駄遣い以外の何物でもない。私は51歳だが、現在の年金制度はどういじったところで40代以下の世代には何の将来展望も持てないはずであり、それならば、現在の年金原資を目減りさせることなく、即座に新しい制度への移行を検討すべきだろう。

「農業の個別補償制度」。各論は31番である。これは池田信夫ブログでも指摘しているが、恐らく唯一のまともな政策であることに同意する。しかし既得権益者の圧力で既にねじ曲げられており、選挙で票の欲しい民主党の腰砕けな態度がよく出ている。こんなことでは政権を取っても改革などできやしないだろう。もっとも支持母体が、大きな既得権益者の1つの労働組合(特に日教組、官公労などは最悪である)でであることから、最初から改革などできやしないだろうことは容易に想像がつくのだが、メディアの煽りの結果、国民の多くが幻想を抱いているようである。

「暫定税率の廃止」。税制の抜本的な改革は必要だし、利権の温床となる目的税の廃止はよいと思うが、高速道路の無償化も含めて道路財源はどうするというのだろうか。環境税に移行しても新たな利権になるだけだ。どういう税制を目指すのかが今ひとつ伝わってこないのである。経済の成長戦略も示せていないわけで、税制全体に対する展望がないのかもしれない。零細企業の経営者としては、中小企業に配慮した税制他「中小企業支援策」を唱えている点(各論35番)は評価できるので、なおさらばらまき政策が散りばめられているのが不満なのである。

「高速道路の無料化」。これについては昨日の記事にしたのでそちらを参照されたい。まあ猪瀬直樹氏が主張するように役人が笑うだけだろう。全額税負担での建設・維持管理となるのだから、「公団」時代(日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団、本四架橋公団など)よりも政府の介入する余地が大きくなるかもしれない。

「雇用対策」。雇用保険の非正規労働者への適用拡大(各論38番)は、勤労者・事業者の負担増になる。労働行政も無駄な箱物づくりなど改善すべき点が多く、セーフティネットもきちんと機能するものに転換する必要がある。各論39番の製造業への派遣労働の禁止に至っては、これもあちこちで論じられているように製造業の空洞化を加速するだけで、日本経済にとってのプラスにはならない。各論40番の最低賃金の引き上げも日本経済の足を引っ張る。「小泉改革で格差が拡大した」という虚構(2000年以降のジニ係数を見よ)に基づいていては、方向性を誤るだけである。

地球温暖化対策については、かっこつけているだけで、民主党の目標通りなら日本経済は大きく停滞するだろう。それよりもエネルギー戦略を重視すべきである。結果的に二酸化炭素の排出量も減らせる可能性がある。順番が逆なのだ。各論42番で二酸化炭素の排出削減目標が具体的なのに対して、各論46番は抽象的すぎる。

食の安全・安心に言及した各論32番も、リスク管理を無視した壮大な無駄遣いであるBSE対策としての全頭検査の国庫補助の復活が記載されており、無駄遣いをなくすという全体の方向性と矛盾している。食品安全庁の設置も大きな政府につながるだろう。

各論15番では「全ての人に質の高い教育を提供する」とあり、まあその理念は理解できるものの、どうも日教組の悪平等主義が見え隠れする。むしろエリート教育を堂々とやってもらいたいものだ。この場合、当然所得に関係なく有意の学徒に門戸を開放すべきであることは言うまでもない。各論4番の公務員制度の抜本改正も官公労あたりの影がちらつく。

各論26番だが、「障がい者」という表記を使っている点で、私は評価しない。こんな言葉狩りはうんざりだ。結局言論の自由のない社会を招くのだ。

また、戦没者慰霊の国立施設の建設も視野に入れているようだが、これも無駄遣いの上、管理面で新たな利権につながり、外交面ではシナ・韓国からの内政干渉を今以上に招く可能性がある。在日外国人へ地方参政権の付与とあわせて、こんな土下座外交姿勢を見せていて、東アジア共同体(各論52番)などといってもイニシャチブが取れるわけがないだろう。

各論は7分野・55項目あるが、積極的に評価できるのは「3.国が行う契約を適正化する」「7.国会議員の定数を削減する」「8.税金の使い途をすべて明らかにする」「9.公平で簡素な税制をつくる」「28.国の出先機関、直轄事業に対する地方の負担金は廃止する」「31. 個別所得補償制度で農山漁村を再生する」(ただし既得権益団体の圧力でねじ曲げられる前のもの)「35.中小企業向けの減税を実施する」「36.中小企業を総合的に支援する」「49.取り調べの可視化で冤罪を防止する」「51.緊密で対等な日米関係を築く」「52.北朝鮮の核保有を認めない」の11項目にすぎない。

またある程度評価してもよいと思われるものは(面倒くさいので各論の番号だけ記する)1,2,5,6,17,18,23,27,29,34,41,44,46の13項目である。

残りの55 - ( 11 + 13 ) = 31項目は、全面的にあるいは何らかの点で不満がある、賛同できない内容なのである。

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コメント

マニフェスト以前に、社会党の残滓がいる、労組のニオイがぷんぷんする、社民党と組む、という辺りで私は既にダメです。

投稿: Joe | 2009年8月13日 (木曜日) 14時36分

>>Joeさん

鳩兄が、当選者数に関係なく国民新党、社民党と連立を組むと声明を出しましたね。あれで私にとってもダメですね。国民新党はともかく(こちらも古い自民党の残り滓みたいなものですがw)、死に体の社民党をわざわざ政権に引きずり込むことはありません。

国内向けには労組に配慮した経済成長の展望のない政策が、対外的には対東アジア土下座外交がそれぞれ展開され、暗黒の時代を迎えそうです。

投稿: フロレスタン | 2009年8月13日 (木曜日) 16時50分

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