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2009年1月25日 (日曜日)

空騒ぎか、これは

自主営業の京品ホテルで強制執行、元従業員ら立ち退かせるウェブ魚拓はこちら

この問題については、不当解雇だという見方もあるし、営業利益が一億円もあって事業は継続できる、といった見方もあるが、60億円の負債を抱えて(その原因となったバブル期の事業多角化の失敗に関して言及し出すときりがない)、しかも耐震基準を満たしていない老朽化した建物(基準を満たすための改装に20億円かかるという)で営業継続をするのは無謀というものだろう。債権買い取ったリーマンブラザーズの破綻の問題など、論点はいくつもあるが、それはあちこちで語られているだろうし、これからもこの問題が決着つくまで語られるだろうから、これ以上は触れない。

じゃあ、何を言いたいのか(笑)。
まずはこの記事とコメントを見て欲しい。

従業員を解雇し廃業した京品ホテル経営陣の思惑

ウェブ魚拓1 ウェブ魚拓2 ウェブ魚拓3 ウェブ魚拓4 ウェブ魚拓5(コメント)

問題はコメントの4番目。

この記事は根本的に間違っております。記事によれば品川駅高輪口の再開発話があり、この京品ホテルの土地はますます価値が上がるとありますが、そうはなりません。現地に来るとすぐに分かりますが、京品ホテルの並びの建物はみんな3-4階建てばかりです。それはここが第一京浜拡幅計画で立ち退き交渉が行われている場所だからで、つばめグリルのビルあたりから京品ホテルはもちろん、その隣の京急のウイング品川の一部(マクドナルド、ア−トコ−ヒ−がある部分)も無くなってしまいます。だからウイングはここだけ分離して壊せるようになっております。このことを労組の方に聞くと「そんなこと知らない」ととぼけてみせますが、地元説明会まで行われ、道路拡幅計画に基づく建物の規制は30年以上前からなのに知らないわけがありません。後ろの品川プリンス車寄せもこれらの建物がなくなり、第一京浜に直接面するようになる前提で設計されています。それゆえ嘘をつく労組には胡散臭いものを感じます。またリ−マンにしても何で再開発できない土地に60億円出すのか不思議です。
なぜかこの問題に各種の記事は触れていないのだよな。

ということで、改めて調べてみた。あくまで現在の制度の中での現実はどうか、ということであり、その現実が好ましいかどうかという価値判断は別の問題であることはあらかじめお断りしておく。

まずは港区の都市計画図。
Shinagawa_takanawaguchi_2

図中の黄色の長方形が京品ホテルの位置(港区のウェブサイトで閲覧できる都市計画図に小生が画像ソフトで追加したもの)で、黒い線が都市計画道路である。図をクリックして拡大するとわかるが、京品ホテルは都市計画道路の予定地内に存在している。この都市計画道路は現在の国道15号(第一京浜)を拡幅する形で都市計画決定されており、正式名称は東京都市計画道路幹線街路放射第1号線といい、都市計画決定は昭21年3月26日である。計画決定からは既に62年近くが経過している。

一方、このホテルの現在の建物は昭和5年に建てられたものだという(京品ホテル)。築後16年で都市計画規制にひっかかり、年月の経過とともに耐震基準にも合致しなくなってしまった、ということだ。

第一京浜の拡幅がもたもたしているから今日まで残ってしまったことになるのだが(このホテルの経営者は、もしも経営が順調だったら、ずっと拡幅による買収にはごねて反対するつもりだったのだろうか)、仮に20億円かけて改築するとして、何ができるのか。

都市計画法に第53条という条項がある。例えばこのホテルが立地している東京都港区のサイトでは

「都市計画として計画決定された都市施設には、道路、公園、緑地等があります。その計画区域内では、事業認可されるまでの間についても、事業の施行に大きな支障を及ばさないように建築行為を制限しています。
建築物を建築する場合は、都市計画法第53条の規定に基づく許可が必要になります。詳しくは担当窓口までお問い合わせください。 」

と解説している。そして原則として許可されるのは同法第54条に規定された「2階以下で、かつ地階(地下)を有しないもの。主要構造部が木造、鉄骨造、コンクリートブロック造その他これらに類する構造であること」なのである。RC造やSRC造は不可で、要するに「すぐに壊せる建物」と言ってよい。

運用でこの制限が要件付きで緩和されることはあるが、東京区部については東京都のサイトに記載がある。このホテルは要件に該当すると思われるが、それにしても巨額の負債を抱えている中でわざわざ金をかけて今よりも階数の低い(階数が3、高さが10m以下であり、かつ地階を有しないこと)建物を建てるバカはいないだろう。建替えではなく耐震補強にしても、いずれ除却しなくてはいけない都市計画法第53条区域の建物でやるなんて、普通では考えられない。

結局のところ、京品ホテルは現在地で現在の建物で営業を継続するのは、経営が悪化しなくても、あるいはリーマンブラザーズの経営破綻がなくとも、困難だったのである。

ホテルの従業員達が本当にホテル業に従事して顧客サービスをしたい、と思うなら、不法占拠のようなことを続けていないで(本日で強制退去されたものの、彼らは今後も騒ぎ続けるだろう)、自分たちでマーケティングから土地選定から資金集めからやって起業したらどうなのだろうか、と思ってしまう。
もっともそういう能力があったら、とっくにやっているだろうけれど。

ちなみに、この建物はなかなか風情があって個人的には好きだ(笑)。上記のWikipediaのサイトの写真を見ても分かるが、周囲のWingだの品川プリンスホテルなどの味気ない建物の中で異彩を放っている。遅かれ早かれ取り壊されてしまうだろうが、心情的には残しておきたい景観である。

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