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2009年1月31日 (土曜日)

またくだらない調査で税金を無駄遣いする厚生労働省

南の島は子だくさん 市区町村別出生率、1位徳之島・最下位目黒区 (ウェブ魚拓はこちら)
出生率トップは鹿児島・伊仙町=大都市は少子化−自治体別の過去5年平均・厚労省 (ウェブ魚拓はこちら)

合計特殊出生率というのは、統計データとして考えるなら、国家単位くらいで意味がある数値だろう。都道府県くらいでもまだ譲れる範囲かも知れない。比較する母集団(ああ、この場合は文字通り「母の集団」ということかな(笑))ができるだけ均質でないと意味がない。この数値の場合、分母は15歳から49歳までの女性人口ということになるが、職業や価値観・人生観、収入、家庭環境、教育環境、障碍の有無などいろいろな側面から見て、母集団が均質(充分かつ多様なサンプル数が確保されている)ことが必要だ。

今回の調査がこれを満たしていないことは明らかだ。

伊仙町の女性人口は(やや古いが2000年の国勢調査で)3,980人である。Wikipediaの伊仙町の記載を見てもわかるが、人口は大幅な減少基調であり、20〜30歳代の人口が全国平均と比較して極めて少ない。

30位の真庭市の女性人口も2005年3月末時点の住民基本台帳ベースで28,242人に過ぎない。こちらも人口は減少傾向である。

一方、目黒区はというと、2009年1月1日時点で134,189人、外国人登録の女性だけで3,658人と伊仙町の女性とほぼ同じくらいいるのである。試しにこの人たちの合計特殊出生率を算定してみるがいい。想像に過ぎないが、恐らく区の平均よりは高く出るだろう。伊仙町の合計特殊出生率が全国一位だ、子育て環境が整っているのだろう、などと推測するのは、目黒区の外国人登録女性の合計特殊出生率を云々するのと同程度に意味がないのだ。

そもそも伊仙町のようなところに残っている若い女性は、大都市の女性と比較してもともと出生意志が強いと考えられる。伊仙町から転出していった(全国平均との差に該当する)若年層の多くは相対的に出生意志が低く、かつ大都市が受け皿になっているだろうから、この調査結果はやる前からわかっていたはずだ。全く持って時間の浪費(つまりは税金の無駄遣い)である。

強いて評価するとすれば、厚生労働省が少子化対策の優等生のごとくもてはやす九州沖縄の島嶼部でも、その数値が大幅に減少していることだ。子育て環境が整っているはずの南の島でも、若い人たちが子供を産まなくなりつつあるのかも知れない、ということにもっと危機感を持つべきだ。

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コメント

まったく仰るとおりでございます。
ナンセンスな統計資料に一喜一憂している。
くだんの町や島へ移住せよとでも結べば、面白いのですが・・・。(爆)

投稿: 閑話ノート | 2009年1月31日 (土曜日) 17時38分

>>閑話ノートさん

最近、派遣切りの人たちを農業に、という動きもあるので、こういう島ならさしずめ漁業でしょうかねえ。長続きする人は少ないと思いますが。

それにしても、役所のくだらない調査結果を批判もせずに垂れ流すメディアは、本当に知的レベルが低いと思います。

投稿: フロレスタン | 2009年2月 1日 (日曜日) 01時20分

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