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2008年6月13日 (金曜日)

技術を正当に評価しない日本社会と御用メディア

日経BP社のケンプラッツ土木というサイト(http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/)に以下のような「垂れ流し」記事があった。

技術士の時給は平均2649円、一級建築士より50円安い
 第一生命経済研究所が4月22日に発表したリポート「時給でみた賃金格差」によれば、対象とした129職種の中で2007年の時給が最も高かったのは 6899円の航空機操縦士だった。2番目は5882円の大学教授で、建設関連の職種では一級建築士が2699円で最も高く、16位に入った。

 同リポートは、厚生労働省が発表した2007年の「賃金構造基本統計調査(全国)」をベースにしている。同調査で示された各職種の月給額と年間賞与などの特別給与額とを合わせて年収を算出。この年収を、所定内実労働時間と超過実労働時間とを合わせて求めた年間総労働時間で割って、時給を算出している。

ちなみに医師は5228円、歯科医師3673円、大学教授5882円、高等学校教員3674円、会計士・税理士が4003円。

サラリーマンを含めた平均だろうから、これだけで個々の待遇を云々することは適切ではないかもしれないが、それでも一級建築士や技術士の時間単価が高校教師や電車運転士・車掌より低いのか。建設業界の1位、2位の両資格が、調査対象の129職種の中で発電・変電工よりも低い。「難関国家資格」も報酬面では冷遇されていることが改めてわかる。こんなことでは将来はないな。まあ談合繰り返したり、自社の利益のために天下りを大量に受け入れたり、下請けいじめやったり、政治工作ばかりやっているような業界だからしかたないかもしれない。

なお、記事中に「特別給与額が最も多かったのは技術士で平均115万5200円だった」とあるが、特別給与額って何だ?これは時給算定に入っているのか?よくわからない記事の書き方だ。もともと技術士は合格者の平均年齢が高い(ために役職者が多い)ことが原因ではないだろうか。それとも基本給抑制されているのか?

ちなみに(社)日本技術士会の報酬委員会資料では、以下のようになっている。
相談料  25,000円/時
日決め方式の場合の一日あたり報酬額(平成19年度)
   143,000円/日(諸経費込み)  ※旅費宿泊費・交通費は別途実費
   直接人件費(1日あたり)  68,100円/日
   (1時間あたり) 9,730円/時

これが高すぎる、というなら日本は技術立国の看板はさっさと下ろすべきである。
私もこの基準通りの報酬などこれまで一度も受け取ったことはない。

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コメント

>それでも一級建築士や技術士の時間単価が高校教師や電車運転士・車掌より低いのか。
ふーむ、やはりそうでしたか。確かに単純比較はできませんが、この結果と大幅に異なるデータ(建築士有利)は探せないでしょう。電気・通信分野では資格がないとできないことも多いのにさらに下位の賃金なのですね。

技術士なんて技術者の最高称号なのに、お金じゃなかったら何をモチベーションにしろと?!これからは技術立国日本(仮称)といたしましょう。いや、この状態だと偽称かbearing

投稿: アマサイ | 2008年6月14日 (土曜日) 17時32分

一言でいえば、日本の今までの工業発展は技術者を搾取することで成立してったことですかね。

ダイナミックに変化する技術には、いわゆる資格はなじまないから、ないだけなのに、そこで足もと見られたらたまらんですな。

投稿: スーパーTS | 2008年6月14日 (土曜日) 22時33分

アマサイさん、スーパーTSさん、コメントありがとうございます。

税理士や高校教員などが給料もらいすぎだ、などとは言うつもりはありません。「文理格差」の是正に、低い方に合わせろ、なんて言ったら足の引っ張り合いになる。過度のマネーゲームは別として、きちんと仕事をして正当な報酬を受け取るのは当然です。

技術士は半数が建設で、水道や衛生工学、応用理学(地質)といった分野も加えると建設関連がかなりの比率を占めます。ここ何年も公共事業削減と入札の影響(プロポーザル方式で大手の寡占が進み、それ以外の一般競争入札はダンピングが横行)という状況ですから、人件費も上げようがないでしょうね。その癖、裏金をかけるところはしっかりかけているのですから。

無駄な公共事業は削減すべきですが、かけるところに金かけないと、昨日のような大地震が首都圏で起きたときに悲惨なことになります。

建設関連以外の分野も含めて、優秀な技術士はいくらでもいます。特に若い時に合格した連中。彼らはダイナミックな変化に対応する能力も持っています。一方で、組織の金をちょろまかするような悪辣な奴も見たことがあります。

資格云々もそうですが、優秀な人材にはやはりきちんと報酬で報いるべきですね。

科学技術立国が偽装なのは、政府がNPOなどの民間法人に対して実施している研究助成にもその要素が見られます。何しろ、人件費を申請額に認めないか、認めても助成決定後に新規に雇用する分だけ、というのがほとんど。どうやって生活しろというのでしょうかねえ。黙っていても給料日に口座に振り込まれる役人のやることは(ry

投稿: フロレスタン | 2008年6月15日 (日曜日) 09時20分

フロレスタンさん どうもです。釣られてみます(笑)。

”日本の技術者はこんな安い給料で働いているのに、どこのどいつが、技術立国なんてふざけたことを言っているんですか。 参考:フロレスタンさんのブログ。 もの作り出すってことに何の感謝も敬意もはらわない国だわな。”

と別のブログで仰られている方がいますが。

何も技術者達に頭下げて、モノ作りしてもらってるわけではないし、彼/彼女らは将来の処遇も知りながら納得して理学、工学を志したわけですから、給料の低さをとやかくいうのはおかしいのでは?いみじくも、そのおかげで日本はここまで経済成長したわけですから、経済原理からすると、これからも同じことを続けて貰わねば困ります。わがままを言ってはいけません。

最も、理系離れといずれは母国に帰る外国人の技術者採用で、今後とも日本が技術立国として存続するかは大いに?ですが。その時は、大笑いしましょう。

投稿: outlaw | 2008年6月17日 (火曜日) 13時28分

outlawさん

マジレスしますね(笑)。
別にもの作りの現場に携わっている人間全員が高給である必要はありませんね。それこそ経済原理(笑)。

技術士や一級建築士は、その中の最上位の有資格者ですわな~。まあ一級建築士なんて、数十万人いて、その中のたまたま1人か2人、ワルがいただけで、あたかも一級建築士全員が不正を働くかの如く所管の国土交通省が過剰反応して建築基準法を拙速に改定し、その結果「コンプライアンス不況」が発生するような国です。しかたないな。まあ日本国が没落することには私もこの世にいないだろうし(笑)。

でもねえ、蟹工船が若い連中に受けている、というのは異常な事態だと思いますよ。

投稿: フロレスタン | 2008年6月17日 (火曜日) 17時46分

フロレスタンさん

レスありがとうございます。

残念ですが、技術者の処遇については、技術者自身が解決するしか方法がないと思います。技術立国を唱える人達は、当然、技術者の伝統的なコストも視野に入れているのでしょう。

理系離れは私の時代と違って、正確な情報により、当然、起こってる現象だと思います。理系の本格的な文転が始まってから20年を経た今でも、真剣に解決策を見出そうとしない当事者の危機意識の欠如を考えると、案外、生きている間に、日本の没落を体験できるかもしれない、と考えてしまいます。

蟹工船ですか?確かに、若いヤツラと話をすると、将来に夢を持たない(or持てない)という輩がいます。堀江モンに期待していた、と聞かされて絶句してしまいました。

投稿: outlaw | 2008年6月18日 (水曜日) 00時36分

>>outlawさん

「技術者の処遇については、技術者自身が解決するしか方法がない」というのは全くもって同感です。

薄給や労働時間など待遇の悪さをを自虐的に喜んだり自慢しているような技術者もいますし、徒弟制度のような縦社会で、上司や先輩から技術者は金じゃないんだ、といったようなことを言われりゃ嫌になりますわな。

IT業界入ったら、若い時は10年くらいは泥のように働け、と説教した元NECの社長なんてのもいます(泥のように働け、というのは多分日本語としては正しくないと思いますが、死ぬ気で嫌なことも我慢して、という趣旨なのでしょう)。

大企業の技術者もたいていは、現状維持に汲汲として、冒険しなくなってますしねえ。

ま、没落は既に進行中だと思います。

投稿: フロレスタン | 2008年6月18日 (水曜日) 01時53分

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