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2007年2月 3日 (土曜日)

また見出しで煽る全国紙

地球温暖化:「人為的と確信」IPCC報告書

本文では(人間活動が温暖化を引き起こした可能性は)確率90%以上、かなり高い、となっているのに、一番目立つ(それしか見ない人もいる)見出しでは「確信」である。90%以上の確率を確信と表現して何が悪いのか、という批判もあるかもしれないが、ニュアンスは定性的な表現と定量的な表現とでは異なる。しかも確信というのは主観を伴う。本文中には「確信した」という報告書の表現も記載されているが、これはよく読むと「温暖化の一因と確信した」となっていて、見出しとはやはりニュアンスは違う。二酸化炭素が増えたから温暖化したのか、温暖化したから二酸化炭素が増えたのか、はなし崩しに前者が有力になっただけで、まだ決着がついていないはずである。

第1作業部会報告書の骨子は次のとおり。

・大気、海洋、雪氷などの観測から、地球温暖化は明白だ
・1906〜2005年の地球の平均気温は0.74度上昇した
・1961〜2003年に年1.8ミリの割合で海水面が上昇した
・20世紀半ば以降の気温上昇は、人間活動による確率が90%以上
・20世紀末に比べ21世紀末の平均気温の上昇幅は1.1〜6.4度
・21世紀末の海水面上昇幅は18〜59センチ
・猛暑や熱波、豪雨の頻度が増える可能性がかなり高い

各項目についての私見は次のようになる。

 大気、海洋、雪氷などの観測から、地球温暖化は明白だ → 今のところそのとおり
 1906〜2005年の地球の平均気温は0.74度上昇した → 観測結果は否定しない
 1961〜2003年に年1.8ミリの割合で海水面が上昇した → 同上
 20世紀半ば以降の気温上昇は、人間活動による確率が90%以上 → 100%とは言ってない
 20世紀末に比べ21世紀末の平均気温の上昇幅は1.1〜6.4度 → これは予測の幅が広すぎる
 21世紀末の海水面上昇幅は18〜59センチ → 同上
 猛暑や熱波、豪雨の頻度が増える可能性がかなり高い → 局所的にはその逆もあるだろう

海面上昇については
地球温暖化:予測超え海面上昇 欧米豪チーム発表、という記事もあり、やはり大変ではないか、という見方もあるだろうが、日本周辺について言えば、(原因はともかく現象だけ見れば海面上昇は今回が初めてではなく)10000年前の海水面はどうだったのだ、とだけ述べておこう(縄文海進)。

むしろこの部分が気になるところである。

報告書は、大気や海の平均気温の上昇や雪氷の融解などの現象を根拠に「地球温暖化は疑う余地がない」と指摘。18世紀半ばの産業革命を境に、温暖化を起こす二酸化炭素(CO2)とメタンがそれぞれ1.4倍、2.5倍に急増したことを挙げ、「1750年以降の人間活動が温暖化の一因だと強く確信した」と分析した。
メタンは100年積算で二酸化炭素の21倍の温室効果を持つとされていて、それが二酸化炭素よりも増加率が高いのであれば、こちらの方が深刻である。

しかも二酸化炭素の赤外線吸収スペクトルは15μm付近の波長帯とされていて、はるかに温室効果の高い水蒸気と区別しにくい上、また二酸化炭素によるこの波長帯の赤外線吸収は97%程度に達していて、上限に近いという説がある。一方、メタンの赤外線吸収スペクトルはこれよりも1/3程度短い波長帯であり、二酸化炭素よりも温室効果が高い、ということはこのためである。

そして直近のエントリー「環境教育の暴走」で紹介したMax Planck研究所の成果のごとく、植物が好気性環境下でメタンを生成しているとなると、(これ以上の温室効果があまり見込めないと考えられる)二酸化炭素の削減のために、それよりもはるかに温室効果の高いメタンを生成する樹木を植える、という喜劇を我々は真剣な顔で演じていることになってしまうのである。過度な人為的緑化は別の意味で生態系や大気循環などを乱し、気候変動を招く恐れがある。

18世紀半ばの英国の産業革命に端を発する現代文明は、寒冷期の気候とこれに基づく生活様式を基礎としているから、気温上昇で混乱するのだと思う。徒に危機感を煽るのではなく、また自らの研究や商売上の理由ないし政治的理由から、闇雲に二酸化炭素だけを悪者にするは問題だ。もう少し冷静かつ科学的に状況を把握するとともに、ある程度の気温上昇に対応できるよう現代文明のあり方を見直す必要があるかもしれない(しかし一番影響が大きいと思われる太陽活動の変化から一転して寒冷化に向かう可能性も否定できないから、そのことも頭に入れておくべきだとも思う)。

なお、何度も繰り返すが、有限な資源やエネルギーの無駄遣いをなくすよう努めることは、地球の気温とは関係なく必要なことである。

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 地球温暖化が、世界中で多くの不幸をもたらしています。異常気象により被災者になってしまう人や沈み行く島に住む人々。絶滅してしまう動植物も・・・。  この不幸を回避するために、私たちは何が出来るのでしょ... [続きを読む]

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