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2006年10月 9日 (月曜日)

あまりに一面的な見方ではないか?

IT立国は頭脳流出で=潮田道夫

最初、見出しを見た時には何のことか分からなかった。最後まで記事読まないとダメな訳で、こんな劣化した見出しつけるなよ。見出しがこうだから、本文も推して知るべし。

 指導教官の松岡聡教授によれば「日本の高校生のレベルは高い。短時日でプロもうなるようなプログラムを組む」そうである。

 高校生はかくのごとく優秀だが、日本の「計算機科学及び数学」分野のレベルは必ずしも高くない。

地球シミュレータとか円周率の計算などでよく登場するから、メディアにはスパコンが馴染みやすいのだろうな。しかし、スパコンだけでITのこと語るなよ。そもそも高校生くらいの柔軟な頭脳がコンピュータプログラミングに適しているのは日本に限った話ではない。松岡教授は客観的な国際比較をしているのかな。

 日本の計算機科学のレベルが高くないってのは潮田論説委員の文章だが、そりゃあなた、大学の先生が仕事してないって批判していることと同義ですぜ。この記事は松岡教授の主張に諸手をあげて賛意を示しているようだが、矛盾しているよ。もっともこの松岡教授がどれほどの能力があるのか、最後には優秀な日本の頭脳を海外で鍛えさせようって他力本願なのだから、これは大したことないと思われても仕方ない。

 学術論文の数やその引用回数でレベルを測ると「計算機科学及び数学」は「臨床医学」「環境・生態学、地球科学」とともに日本が弱い分野だ。米国はもとより、独仏にも負ける。
このくだり、「計算機科学及び数学」について、JosephYoikoさんに論評をお願いしたいところである(^_^;)。論文の数や引用回数だけで質は計れないと思うのだが。

 環境・生態学と地球科学がどうして一緒のくくりなのかも疑問だが、環境なんて糞みたいな似非科学ないし宗教的な論文も多い訳で、それこそ数の問題じゃねえだろう。

 まあ、言葉の問題ってのも大きいような気がするが。

 日本の大学の現状を見るがいい。「電子工学」の人気離散がひどい。最下位付近だ。つまり、厳しい言い方をすれば、理系学生の多くが日本のITの未来を見限っている。これを放置してIT立国はない。
 IT=電子工学ってステレオタイプからいつになったらメディアは脱却できるのだろうか。

 医者が全員「いい暮らし」ができる訳ではないのだが、これには受験生及びその周辺に対するメディアのミスリードもあるのではないかな。

 それに比べ、ITはステータス(社会的地位)や収入に関して、医学部のようなビジョンを欠いている。ITのモデルがホリエモンでは、優秀な学生ほど愛想をつかす。
ホリえもんを勝手にモデルに仕立て上げたのは、一時のあんたらメディアではなかったかと。

 そもそも、この記事、日本の大学の医学部とアメリカの大学の医学部を同列に扱っている点で落第だ。

 松岡教授は「頭脳流出の薦め」を説く。能力あるものはグーグルなど米IT企業に行け。そこで社会的尊敬と高額報酬を得よ。それにより日本の大学と企業の危機感をかきたてる。長期的にはそれが日本のためになる。過激だが、正しい処方せんだろう。
Googleって社会的尊敬集めているのか?確かに優秀な会社だし、便利なツールを提供してくれるが、最近はYouTubeの買収に動くなど、なりふり構わないようにも見える。そんなに聖域扱いする会社でもなかろう。

それはともかく、いつまでこんな他力本願を続けるつもりだろうか。そもそも現状では、優秀な技術者がアメリカで修行して帰ってきたとして、日本側の受け皿がない。大学や企業の危機感を煽るだけでは受け皿なんかできっこない。流出した優秀な頭脳は永遠に戻ってこないぞ。どうしたら、その受け皿ができるのか、もっと建設的かつ具体的な考えて、文系優位の日本社会の構造改革しないとダメだ。あれ,そういえば、潮田さん、御社の理系白書って特集はそのためにあるのではなったのでしたっけ?w

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コメント

ちょっと資料を探してませんが、これって、以前に元村か青野かが記事書いたのと同じ、NISTEPの資料に基づいているようですね。

その時も批判したと思うのですが、例えば、フランスでは、実質的には地質学(石油探索とかね)やっていても、研究所の名前は数理XX学研究所だったりするわけですよ。英国みたいな元々大学に工学部が無い国々は、電気工学やっていても数学科に入れられたりする。

#ホーキングもペンローズも英国では数学科の教授ですが、これは日本人にとっては「はぁ?」でしょ?

この点については、フランス学士院経由でトムソン社に猛烈に抗議しました。そんなん意味無い比較だってね。

投稿: JosephYoiko | 2006年10月 9日 (月曜日) 17時40分

数学と計算機科学に関しては、もう一つ考えなければならない問題があります。

それは、突き抜けた独自理論をやっている人の論文と、誰かが提唱したアルゴリズムや問題の解法を実際に応用してみた結果報告論文とを同列に評価していいのかという問題です。

米国なんてね、ぶっ飛んだ論文書くのも居るんですが、実験すれば誰でも一定の成果を出す糞論文も多いんですよ。糞論文書きは糞論文書き同士でつるみますしね(^^;。

で、それが引用数多いからといって果たして優秀なことになるのかという問題があります。

数学や計算機科学で最先端突っ走っていれば、その論文の内容理解出来るのなんて世界で10人居ないなんて例は掃いて捨てるほどあります。

日本の純粋数学者、特に、代数幾何学や抽象代数やっているような連中の論文は結構このタイプが多いです。フィールズ賞とった森重文さんの論文なんかがそうですね。

投稿: JosephYoiko | 2006年10月 9日 (月曜日) 17時49分

>>Yoikoさん

早速の反応をありがとうございます。
数学の最先端の理論で、理解できるのが世界中に10人以下、なんてのは数学専攻でない私でもよく聞く話です。

そんなレベルだと引用できる学者の数も限定される訳で(理解できないのに引用したらアホだ。紹介ならいざ知らず)、引用回数が多いから優秀だとか質が高い、などと断定出来ないことになる。

A.Wilesなんてもしも糞論文たくさん書いていたら「フェルマーの最終定理の証明」なんてできない訳ですよね。

なんか論文の数や引用回数の国際比較、それも比較のベースがいい加減なの、日本の科学技術が欧米に比べて劣っている、という自虐的な記事をマスゴミが書く時の常套手段ですな。

投稿: フロレスタン | 2006年10月 9日 (月曜日) 19時17分

そうそう、Googleは、某国で国家による情報統制にも力を貸して、儲けてますね(M$も同様だけど)。

やはり社会的尊敬とは相容れない存在かな?

投稿: フロレスタン | 2006年10月10日 (火曜日) 12時31分

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