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2006年9月13日 (水曜日)

結局のところ便所の落書きレベルの安倍批判にすぎない

今日の発信箱「縮み志向」。某「大物女性記者」さんの手による。

で、この今日の発信箱だが、やけに有徳院(徳川吉宗の院号)に肩入れしている。日本人の持つ平均的な吉宗のイメージに立脚していると見ていいだろう。つまるところ、改革を断行した名君、江戸幕府中興の祖、といったものである。そのために、吉宗時代の「縮み指向」を意外だという論調で記述しているのだが、意外でも何でもなく、それがありのままの姿である、ということをこのエントリーでは主張してみたい。記事中に登場する科学史家の板倉聖宣氏の見解は妥当なものとして賛意を表明する。

我が国初の人口調査は、八代将軍徳川吉宗が始めた。
1つ勉強になりました(笑)。1726年のことですね。ただし「将軍徳川吉宗が68カ国の大名に命じて、百姓、町人、社人、僧尼等16歳以上男女の人口数を調査(ただし、琉球・蝦夷は除外。公卿・武士も除外)」だそうです(「社会調査の歴史」から引用)。

1728年に四公六民を廃止して五公五民にしているから、そのための基礎調査という位置づけが出来るだろう。悉皆調査ではなく、また直営事業でもなく、少なくとも現在の国勢調査や各種指定統計と同列に論ずることは出来ない。

その前に1721年に江戸の人口を調査している。ちなみに吉宗の征夷大将軍就任は1716年である。

しかし、江戸時代の三大改革というのは、改革という名前に騙されてはいけない。いずれも農本主義・復古主義の権力者が時計の針を逆回ししようとしたものである、とこれまでに読んだ各種の書物から私は考えている。

吉宗は「米将軍」と呼ばれた。寛政の改革の松平定信は吉宗の孫であり、そのマネをしたといってもいいだろう。白河藩主時代の米買い占めなどは米将軍の孫の面目躍如である。開明的な重商主義者で改革指向だった田沼意次は目の敵であった。天保の改革の水野忠邦の時代錯誤ぶりは今更言うまでもないだろう。その忠邦の先祖(五代前)にあたる忠之は享保の改革の担い手であった。要するに三大改革というのは、時代の変化について行けず、矛盾を露呈した幕府政治の手術であったのだが、処方箋が間違っていたために、帰って矛盾を拡大した、という風に見てよい。おかげで明治維新につながっていくわけだが。

吉宗は初代将軍にして曾祖父の家康の治世を理想とし、吝嗇家であるところも似ている。側用人を廃した独裁主義者といってもいい。目安箱など、要するにガス抜きだろう。もちろん町医者小川笙船(しょうせん)の投書が契機となった小石川療養所のような成果まで否定するつもりはないが、これとて社会不安を取り除くためのプラグマティックな政策と見ることも出来る。医学・薬学の発展につながる根本的な改革はなされていない。

また、望遠鏡で星空を見たり、象を輸入したりと科学好きの一面が強調されるエピソードもあるが、それが民政にはほとんど反映されていない。要するに個人的興味に過ぎなかったのだろう。

彼の敬愛する五代将軍綱吉(吉宗の「吉」の時は綱吉からの偏諱である)の治世には、数学者(和算家)の関孝和がいる。だが関は六代将軍家宣の直参となり、その治世中に死去した。吉宗は六代将軍の政治体制を否定し、将軍就任時にその宿老をことごとく追放している。新井白石然り間部詮房然り。そのことからの邪推に過ぎないが、和算を発展させようという意思は吉宗にはなかったのではないだろうか。

また、吉宗の後継者である家重、家治の治世下では、平賀源内が活躍したが、彼もまた異端児扱いであった。それは享保の改革があくまで農業改革主体であり、科学技術振興に対する理解があったとは言えないことを示しているように思う。

総裁選レースの先頭を走る安倍晋三官房長官の政権構想を読む。ちゃんと「技術革新で活力ある社会」「再挑戦できる社会」と書いてある。ただ「科学技術」の4文字がない。縮み志向ではいけないという意気込みは伝わるが、具体的な戦略が読み取れない。

どうしてそんなに文字としての「科学技術」に拘泥するのかな?「技術革新」と書いてあるわけだろ。それには基礎科学の発展など言わずもがなで不可欠であるよ。

分かりやすさでは小泉さんと吉宗さんが一枚上手か。
ポビュリズムという観点からするとそうかもしれない(笑)。 しかし、結局ここまで読んでわかるのは、この記事が、壮大な前置き付きのタダの安倍批判にすぎない(笑)、ということである。

ちなみに1995年の大河ドラマ「8代将軍吉宗」の上記記載人物の配役を(^_^;)。
徳川吉宗…西田敏行、少年期の松平頼方…阪本浩之
徳川綱吉…津川雅彦、徳川家宣…細川俊之、徳川家重…中村梅雀、新井白石…佐藤慶、間部詮房…石坂浩二、水野忠之…石立鉄男、小川笙船…河原崎長一郎

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コメント

安倍晋太郎は、毎日新聞社友だったと思うのですが、裏切り者の子は社をあげてバッシングするんですかね?(^^;

『どうしてそんなに文字としての「科学技術」に拘泥するのかな?』

技術革新だと、科学技術ジャーナリストが入り込む余地が無いから(笑)。

投稿: JosephYoiko | 2006年9月13日 (水曜日) 22時08分

深い読みを・・・・・尊敬
自分の読解力のなさを反省

投稿: ななし | 2006年9月13日 (水曜日) 23時31分

う~ん、今回はまともな文章だと思ったのに。
ん?もしかして、どっかのだれかがブログに書いてたのかも。
いや、すいません、邪推ですから。
(でもな、前例あるしな)

投稿: アマサイ | 2006年9月14日 (木曜日) 10時23分

>>Yoikoさん

何か、サヨクマスゴミ総動員で、安倍は危ない、安倍ではダメだ、というキャンペーンをやっているように感じられますね。だから刺身のつまみたいな記事までアンチ安倍。

そういう翼賛的な旧世界メディアの体質の方がよほど危ういということに気がつかないのでしょうね。それと国民を莫迦にしている(莫迦な国民も多いけど)。

>>ななしさん、アマサイさん

いや、この記事、文章としては彼女の記事という点でも毎日の記事という点でも悪くはないと思いますよ。

ただね、あまりにもアンチ安倍という目的のために吉宗を持ち上げている(持ち上げすぎちゃったので、逆に自分に都合の悪いことが出てきて、それを「縮み志向」なんて取り繕わなきゃ鳴らない嵌めに陥っている)ので、それはちょっと違うだろうと思った次第です。

投稿: フロレスタン | 2006年9月14日 (木曜日) 11時41分

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