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2006年4月 2日 (日曜日)

こんな糞記事が地方版に

毎日新聞の地方版、いや「排日新聞の痴呆版」である。

毎週日曜日に阪神されるメールマガジン「安心!?食べ物情報 Food Review」(渡辺宏氏主宰)の今日の配信記事に、こんなのがあった。長いが全文引用する。

 「牛乳有害説」ははっきり言って根拠のない妄説です。生産者の方も馬鹿らしくて相手にしてこなかったと思いますが、そろそろこういう業務妨害に類する言説に対しては訴訟をおこすなどの対策が必要なのではないでしょうか。ホクレンなどは充分その力があるのですから、対応してほしいと思います。

 こういう妄説が拡がるには、段階があって、

発案者(狂信者)

煽動者(詐欺師)

信奉者

一般人

 と拡がっていきます。

 以前は「低温殺菌牛乳以外はダメ」というようなキャンペーンがありました。あのときはどちらかというと「煽動者」の段階からスタートしていました。実際、消費者運動をすすめている人たちが自分たちの運動を盛り上げるためにでっち上げた工作であることを高橋晄正氏が暴露していました。

 低温殺菌牛乳が普及してくると、こんどは「牛乳有害説」が出てきたわけです。こんどは立派な発案者がいるようです。ときどきマスコミなどでも登場してきていて、困ったことだと思っていたら、毎日新聞でこんな記事を見つけました。

--〔↓引用はじめ〕------------------------------------------

 牛乳が生産過剰に陥り、1000トンの廃棄処分が決まった。ホクレンなどは消費拡大に躍起だ。牛乳は健康に良い食品だと一般に信じられているが、牛乳が実は人体に害を及ぼすとの主張も根強く存在する。酪農王国・北海道には悩ましいが、消費者として「牛乳有害説」も知っておきたい。

 「病気にならない生き方」(サンマーク出版)は現在65万部のベストセラー。「胃腸は語る」(弘文堂)は98年の刊行以来11万部。著者は米国アルバート・アインシュタイン医科大外科教授で胃腸内視鏡外科医の新谷弘実氏。30万例の胃腸を診察した目で数々の“健康の常識”を覆す。その一つが牛乳神話だ。

 大部分の人の胃相・腸相は「牛乳を飲むことによって悪くなり、難病ともいえる悪性炎症性の大腸炎もできる」。牛乳が子供たちのアレルギー体質を作ることや、飲み過ぎが骨粗しょう症を招く危険性も紹介している。

 出版社や新谷氏の事務所によると、牛乳メーカーや農協から抗議などは一切ないという。

 生活習慣病予防のための「食事バランスガイド」=イラスト=を昨年作成した厚生労働省に聞いた。ガイドによると、1日に必要な牛乳・乳製品は牛乳換算で180CC。牛乳有害説の評価について「それは内閣府の食品安全委員会の所管」(生活習慣病対策室)との回答だった。

 食品安全委員会は「厚生労働省から特に要請がないのでそのような審議はしていない。見解もない」(事務局)。典型的なたらい回し。行政も牛乳批判を無視・黙殺していることが理解できた。

 道の健康増進計画の素案にもこのバランスガイドが引用されている。立案した地域保健課の担当者に新谷氏の著書を示すと、「それが正しいと言える根拠はどこにあるのか。日本人のカルシウム不足は牛乳で補うべきだと考える専門家の方がはるかに多いのではないか」。続けて「(牛乳が問題だという)国の情報はない。だから国と同じ見解です」。「地域主権」が聞いてあきれる。

 宗谷管内豊富町の酪農家でチーズやアイスクリーム作りも手掛ける久世薫嗣(しげつぐ)さん(62)は牛乳・乳製品を否定する立場ではない。しかし、日本で主流の超高温殺菌牛乳(130度、2秒殺菌)の問題点を次のように指摘する。「予備加熱(85度で15〜20分)でたんぱく質が熱変性し、発がん物質ができる可能性を指摘する学者もいる。カルシウムも熱で不溶解性のものに変化するので吸収されなくなる。これが一番大きな問題です」

 久世さんは牛乳は低温殺菌(65度で30分)で飲むことを勧める。そして、問題だらけの牛乳を生み出している効率優先の生産・加工・流通のシステムを問い直すべきだと訴える。【山田寿彦】

毎日新聞 2006年3月25日
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/hokkaido/shizen/news/20060325ddlk01070383000c.html
--〔↑引用おわり〕------------------------------------------

 山田記者、これはないでしょう。マスコミが煽動者役をやってどうするのですか。

 そもそも、現在非常に苦しんでいる北海道の酪農民を、北海道版の紙面で貶める記事を書くとは…。

 「行政も牛乳批判を無視・黙殺」しているのは、愚にもつかない妄説だからです。でもこういうものを放置しておくと山田記者のような人も出てくるということは反省すべきでしょうね。

 無理な増産で余剰乳に苦しむのは自業自得です。しかしこういう妨害キャンペーンのせいで消費が低迷するというのは気の毒としかいいようがありません。言論の自由といっても、自分たちは安全地帯にいて、他人の生活をおびやかす言説をまきちらす権利は誰にもありません。

 生産者団体はまず毎日新聞を訴えるべきです。また、こういうキャンペーンを推進している人たちにも損害賠償請求をおこすのがよいと思います。

 「牛乳有害説」が根拠のない妄説であることは以前にも書きました。こういう妄説にひっかからないよう、もう一度呼びかけたいと思います。

いやあ、アメリカの医科大学教授というだけで盲信して、こういう電波記事書いちゃうのは、さすがである(もちろん皮肉ね)。65万部のベストセラーということは、それだけ騙されちゃった人がいるということか(^_^;)。買って読んで全員が騙される訳でもないだろうが、食品に対する不安感が充満しているから、こういう本が売れるのだろうな。

「30万例の胃腸を診察した目で数々の“健康の常識”を覆す」というのだが、胃腸に作用するのは牛乳だけか?むしろ30万例も診察しているなら、もっといろいろなことが発見できるだろうし、逆に1つの原因物質だけで症状が悪くなる、等と断定できるはずがない。こういうのは、最初から牛乳を悪者にする、という結果があって、それに合わせて勝手に症例の解釈をしているだけなのだろうな。

こういうこと(牛乳有害説)が本当なら、こんなベストセラー本なんか書いてないで、きちんと論文発表して専門家の批判を仰げよ。

「出版社や新谷氏の事務所によると、牛乳メーカーや農協から抗議などは一切ないという」って、それは、渡辺氏も書いているように、単にバカバカしくて相手にしなかっただけのことだ(笑)。しかしここまでひどいとそうも言ってられないかもしれない。

そして渡辺氏はメルマガの最後にこうも記している。

 ずっと毎日新聞をとっていて、このごろはわりとまともな解説記事も載っているので、私は評価していました。しかしこの記事を見て、毎日新聞をやめようかと真剣に考えています。読売新聞も朝日新聞も好きでないのに、困ったものです。「ネットがあれば新聞はいらない」派に転向したほうがよいのかもしれません。

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コメント

毎日新聞論説委員のおっさん達は、元民主党の永田を「ソースの見極めが足りない」という観点から強烈に馬鹿にしていましたが、構図として全く同じですね。

そもそも、アルバートアインシュタイン医科大自体は、それなりに有名な医大なのですが、もし、この教授が小金儲けの電波本を書いているのではなしに、真に(=統計的に有意な)主張内容の結果が出せたのならば、何故学術論文にしないのでしょうかね?(笑)

こういうあたりを考えないのが、浅はかな証拠ですね。読むまでも無い。

投稿: JosephYoiko | 2006年4月 3日 (月曜日) 12時02分

新谷氏は胃腸内視鏡分野では神のような人ですよ。知らない人は知らないでしょうか。
いろいろ疑問を持ってるようですが本読んでみたら解決すると思いますよ。
ちなみに本に書いてましたが論文はいろいろ出てるそうです。
読まないで批判するのはどうでしょうかね。
それってPTAだとかと一緒ですよ。

投稿: yamano | 2006年4月 5日 (水曜日) 22時14分

>>yamanoさん

ご教示ありがとうございます。読まないで批判云々は、おっしゃるとおりですね。といいつつ、少し私の考え方を補足します。

権威だという情報は目にしましたが、私はどちらかというと新谷氏の業績そのものよりも、記者の取り上げ方の方が気になりました。論文は門外漢ですので、統計処理とか論理展開といったような常識的な部分を除いては、読んでも多分正当な評価はできないと思います。そういう意味で、余計に記者の取り上げ方は疑問ですね。一般向け書籍ではなく、まず論文業績に言及すべきです。

ただ、30年間で30万例という症例の数は、時間的な側面から本当か、という疑問も目にしております。神様のような権威者がなぜサンマークのような悪名高い出版社からホンダしたのかも疑問ですね。

いずれにしても、なかなか時間がありませんが、機会を見て氏の「まともな(版元から出た本なり論文梗概なりの)」著作に触れるよう、頭の片隅に置いておくことにします。

投稿: フロレスタン | 2006年4月 5日 (水曜日) 23時39分

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