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2005年5月 4日 (水曜日)

三方一両損の嘘

今日の日経のスポーツ覧に、武智幸徳記者の署名入り記事で、W杯アジア最終予選の北朝鮮戦の第三国開催・無観客試合というFIFAの裁定について、日本だけでなく、(既に平壌でアウェー戦を済ませた)イーラーンやバフラインに対する配慮もあるものだ、という高評価をしていた。そのことを「三方一両損」的裁定と比喩していた。

私は前からこの三方一両損はおかしいと思っている。というか本当におかしいのだよ。一種の錯覚だ。皆が損する、という気分にさせることで日本人の情に訴えて、この「伝説」は生き残ってきたのだろう。

だが、3人の登場人物がいて、裁きの場のみにおいて、何も生産せず、何も商取引をしておらず、また盗難紛失もないのに、何故3人とも1両損しなければいけないのか?不条理ではないか。

大岡越前は、確かに1両損している。問題は残りの2人だ。
紛失した3両の持ち主は、もともと1人なのに、何故か2人現れたのが、この大岡裁きの発端だ。1人は3両など持っていなかった大嘘つきと言うことになる。こいつが実は2両得している。もともと持っていないのにまんまと2両せしめたのだから。そして本来の持ち主は、3両が2両に減ってしまったから、1両損している。

つまり、大岡越前と本来の持ち主は、それぞれ1両ずつ損をした。都合2両の損が出ている。これを嘘つき野郎が2両せしめたので、差し引きは0である。辻褄は合っている。

大岡越前は、このフィクションの中では、名裁きどころか、自らの懐から盗人に1両余計な追い銭をくれてやったのだ。嗚呼。

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コメント

はじめまして。
JIJIさんところ(楽天・・・)
でのコメントで拝見しました。コメントに気づかず。遅れました。
なかなか返事もまだ出来ない状況ですが、改めて参ります。

投稿: もぐもぐ | 2005年5月 5日 (木曜日) 15時08分

スポーツは話はわかりませんが、「三方一両損」の話はそうではないでしょう。

正直者が拾った財布を持ち主に直接届けたが、落とし主は「それは確かに俺の財布だが、三両の金は俺のじゃない」と言い張るのです。

落とした俺が悪いのだ、金はもうなくなったものとあきらめた。そこに大金をそのまま届けてくれた人に対して、はいそうですかと金をうけとる気になれないという落し主の気持ち。
それに対して、そのまま盗んでもわからないのに金には一切手をつけずに拾った財布をそのまま届けた正直者の意地。
それがぶつかって喧嘩になった。
いかにも江戸っ子らしい話です。

大岡越前が1両自腹を切って褒美を与えた理由はそれです。
ふたりも、自分たちの意地の張り合いに本来無関係のえらい人が自腹をきってまで仲裁してくれたことに対して感謝して一件落着したのです。

投稿: MAR | 2005年7月 2日 (土曜日) 09時51分

MARさん

コメントどうもです。
おっしゃりたいことはわかるのですが(そんなこと私も知ってます)、私の言い分が、人情話のことを言っているのではなくてね数学的にあるいは経済学的におかしいということに気がついていただけるとありがたいのですが....

ということで文系白書ネタ。

投稿: フロレスタン | 2005年7月 2日 (土曜日) 22時32分

数学的におかしいという事など、誰でも理解しているでしょう。
人情話以外の何物でもないので、数学的にどうのとか経済的にどうのなどと言うのは、あまりに無粋というものです。

投稿: andante | 2005年7月 4日 (月曜日) 00時10分

誰もがわかっているなどとは思っていないので、無粋を承知で書いているのですがねえ。

投稿: フロレスタン | 2005年7月 4日 (月曜日) 00時21分

初めまして。

この落語の語りは以下のようらしいですね。

「これ、熊五郎、そのほう金太郎の届けし折、受け取り置かば三両そのままになる。金太郎もその折もらい置かば三両ある。越前守も預かり置かば三両、しかるに越前守これに一両を出し、双方に二両ずつつかわす。いずれも一両ずつの損と相成る。
これすなわち三方一両損と申すのじゃ、あいわかったか」

このロジックなら、越前守は四両損しています。
「越前守も預かり置かば三両」という文があきらかに余計なのですが、なぜか入っているようですね。

投稿: 岡田K一 | 2008年8月29日 (金曜日) 14時55分

>>岡田K一さん

3年以上前のエントリーにコメントいただき、ありがとうございます。

人情の機微はともかく、論理的に考えることは大切だと思います。というか、話を鵜呑みにしないことですね。大岡越前の4両損になるストーリーが落語の語りでしたか。

江戸時代だと、公儀は損した分を貨幣改鋳で補えるわけですが、大岡の仕えた米将軍は、貨幣改鋳を罪悪視した重農主義者ですから、こういうエピソードも残るのでしょうね。

投稿: フロレスタン | 2008年8月29日 (金曜日) 22時55分

はじめまして!
フロレスタンさんが、ご所望される
フロレスタンさん独自の
ギャグで大笑いでは無いのでしょうが
この記事を繰り返し読んで、少し可笑しくなり笑いました!
三方一両損、確かに私も嘘だと思います笑
初めは、先にコメントなされてる方々の意見に寄った感覚でいたのですが
他の記事も拝見させて頂き、フロレスタンさんの人柄と言いますか、性格と言いますか
戯れ言を嫌いそうな性分に、勝手ながら親近感を湧かせて頂き、何故だか無性にコメントを差し上げたくなりました次第です。
まず、これは誰もが数学的に、おかしいと思っている事では
ないと思っております。
日本人がこれを美談だと思い、伝わり続けてる現状がその証拠かと思われます。
(因みに私は、日本人です。)
もし、中国の矛盾の故事のように、突っ込みをいれる人間がいるとすれば
越前の家来でも何でもいいです。白州で同席してるかもしれない大家でも構いません。
「それはそれはお奉行様おかしな事をそれを言うなら二方一両損一方二両得にございませんか?」
ぐらい言うと思うのです。
むしろ、中国だったら誰か言ってると思います。
僕が仮に現場に居たら
「ババ抜きで言うたら両方から一枚抜いて一人勝ちやん」
言うと思います。きっとフロレスタンさんはこういう事を言いたかったと思うのですが、如何でしょうか?
レスを頂ければ幸いにございます。

投稿: かっぽん | 2015年4月 2日 (木曜日) 03時56分

ああ、すみません。ブログはほぼ放置状態ですので、レスが遅くなりました。

最近はあまり五月蠅いことを言うのは止めようかなと思っていまして、このいささか古い記事も、理屈はそうだけれど、語り継がれてきた「美談」は美談でいいんじゃないの、と思っております(笑)。

故事や格言には、並べると矛盾するものもありますし、味わうときは味わう、でも時々それは違うんじゃないのか、と突っ込めば個人的なストレス解消になる、というところですね^^;

投稿: フロレスタン | 2015年4月30日 (木曜日) 15時18分

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