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2005年5月22日 (日曜日)

脳内で廻る風車

昨21日の日経新聞夕刊4版の社会面(10面)の、「四季の息吹」というコラムについて。
タイトルは「風薫る5月」、サブタイトルは「地球を救え 風力発電」というコラムで、気象業務支援センターの村松照男氏執筆の記事である。

不勉強なのか寡聞にして、気象業務支援センターという名前は初めてだった。そこで検索してみると、気象情報サービスを業とする財団法人であった。村松氏は3月時点では気象衛星センターという気象庁の組織の所長だったので、官の人事の一環での異動だろう(天下りかもしれないが、そこまでは調べていない)。

記事中には、いくつか気になる、というよりは客観性から見て大いに問題だと感じる点があるのだが、まずは軽くジャブから。村松氏(以下、氏と略す)は、文中で温暖化という通常用いられている用語の他に、「高温化」という言葉を何度か用いている。通常の感覚で言うと温暖化と高温化とではずいぶんとニュアンスが異なるはずなのだが、敢えて高温化という言葉を使っているのは、おそらくご本人は善意から「警鐘を鳴らす」「危機感をもたせる」つもりなのだと思う。それは押しつけがましいお節介なのだが。

エベレスト直下の氷河やアルプスの氷河が今世紀末までに消滅してしまうと計算されている、とも書いている。これではまるで、今世紀末までのアルプス氷河の消滅がほぼ確定的な事実のように思ってしまう読者も多いと思う。しかし、90年先の地球規模の出来事がそれほど正確に予測できるほど科学技術が進歩してはいない。一般向けのコラムだと思ってこんな書き方をしているのか、それとも故意にこういう書き方をしているか、わからないが、少なくとも氏がまっとうな科学者あるいは「公務員」であれば、こういう書き方はすべきではない。

主語の明示されない「計算されている」などという文ではなく、どこそこの誰それがどういう前提でどういう手法で予測した結果、このようになった、と書くべきである。この手のシミュレーションはあちこちで行われているし、概ね温暖化が大幅に進展する、あるいは危機的な状況になる、という結果を導いているものが、マスコミ報道などでは多い。

このままでは氷河がなくなってしまい、海水面も上昇して大変だ、と叫びたい気持ちはわからないではないが、氏の立場のような人にはもっと冷静に行動してもらいたい。

そして極めつけは、以下の文章である。

この地球温暖化を食い止めるには、二酸化炭素の放出を減らせばよく、削減の決め手は省エネと二酸化炭素を出さないクリーンエネルギーの利用である。もっとも有力なものが風車による風力発電なのである。
ここで「高温化」と書かなかったのはせめてもの良心なのかもしれないが、よくもここまで単純に断定できるものである。これも、何はともあれ二酸化炭素の削減をしなければ、という氏の「使命感」からなのかもしれないが、それは勇み足というものだ。

「地球温暖化」(が仮に本当に進行しているとした場合)の原因は複合的である。温暖化そのものに異を唱える説もあるし、その他の原因を指摘している説もある。多くは黙殺されて報道されないが。

文章の後半は、客観的な記述というよりは、文学的な風力発電礼賛になってしまっている。

北海を西に望むデンマークやドイツ北部などはカムチャツカ半島の緯度に当たり、大西洋からの偏西風がほどよく長く吹き続くので風力発電に適している。世界の総発電量の七割をEUが占めて風力発電先進国のドイツが4割近くで日本はその二十分の一程度にすぎない。
数字の比率が捉えにくい悪文であるが、それはともかく、またまた出ました「ドイツ礼賛」。本当に日本人の環境派と自虐史観派にはドイツ好きが多い。

それよりも、この文章を読んで感じたのは、氏は本当に気象庁の人なのだろうか、ということ。
日本はカムチャツカの緯度には位置していないのですが。ヨーロッパ様の尻を追いかけて風力発電だけを特別扱いするのではなく、日本の自然条件に適したエネルギーのベストミックスを(風力も含めて)追求する方が重要だと思う。

なお、この地球温暖化問題については、いくつかの情報源からどうもNASA(米国航空宇宙局)あたりがもともと仕掛けたものらしく(真偽のほどはどこまで確かめられるか不明だが)、そういう視点で見てみると胡散臭いと思われる情報に出くわすことがある。例えば、今年の夏は太平洋の海水温が高いために昨年のような猛暑だ、という予報が少し前に流れたが、これはNASAの主張をベースにしたある気象庁の予報官の説である。しかしその気象庁が数日前に、今年の夏は冷夏の可能性がある、という逆の予測を出している。

このブログで私は省エネと省エネなどを通じた二酸化炭素の削減そのものは、地球資源の有限性から必要だと主張してはいるが、少なくとも然るべき立場の人がその公的な肩書きのもとで、こんな質の低い煽り記事を執筆し、それが影響力の大きい全国紙に掲載されることは看過できない。

それから、最後にいちゃもんつけるが、これは案外多くの人の共感を呼ぶかもしれない、と期待して暴言を吐く。この手の、人に説教をたれたり啓蒙しようとする人にありがちなのは、しばしば自身の個人的生活では全くこれに反することをしている、ということである。例えば、3ナンバーの燃費のよくない自動車に乗り、自宅では暑がりなために夏は冷房ギンギン、などといった調子。もちろん村松氏がそうだ、と断定・非難するつもりはなく、あくまで個人的経験に基づく一般的な印象にすぎない。

いずれにしても、いわゆるサイレントマジョリティーの方が、よほど真面目にそして質素に日々の生活を送っている。そういう人達にいたずらに罪悪感や幻想を抱かせるような記事は不快なだけである。

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今度はフロレスタンさのブログに触発されて。 http://88th-night.tea-nifty.com/nekojita/2005/05/post_5bb3.html 確かに数万年オーダーで見れば氷河期や温暖期があるわけで、CO2ほか指定5ガスのみを悪玉にしての削減政策は、熟慮の上とはいえ、片手落ちかもしれない。ま、NASAが震源地で、USAが批准していないのも困った問題ではある。しかし、走り出した政策に乗っかって行こうというのは、民間人なら大概そうすることだと思う。(流れの中で得するために) ... [続きを読む]

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