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2005年5月 4日 (水曜日)

脱線事故(続きその12)

一億二千万人、総ヒステリー状態になってきた。
事故車両に乗り合わせていたJR西職員の2人の運転士が、救助活動をせず出社していたことに非難の声が高まっている。一体何人吊し上げれば気が済むのだろうか。何しろ、直接関係ない他社の運転士まで、プレッシャーからか他の原因からか、オーバーランを発生させているくらいだから。

しかし、伝え聞くJR西の労務管理体制ならば、この運転士2人は、遅刻や欠席などすれば日勤教育が待っているだろうから、これはサラリーマンとしては当然の行動である。少なくともJR西という会社の社員としては自然な行動だ。それを後付けであれこれ非難されても、当人達は「なんでや?」と思うだろう。だから気が動転して、などという明らかに嘘とわかる理由をくっつけている。

JR西の幹部連中は、対応が完全にその時々のマスコミから提供される「ネタ」に左右されて、右往左往しておるね。定時運行ができないと日勤教育で締め上げることはできても、定時運行のために何が必要かという具体的なものは何一つ提示しない、という会社だから、定見というものはもともとないのだろう。自らの存立基盤があっさりと崩れてしまったから、場当たり的な対応しかできないのは、当然の成り行きとも考えられる。

テレビでは、乗客や目撃者の「証言」として、オイルの臭いがした、というのまで取り上げて、ああでもない、こうでもない、と囃し立てている。視聴率のためなら何でもありか?

事故の詳細や原因究明は、兵庫県警や国土交通省の事故調査委員会に任せよう。

犠牲者の方は、本当に限りなく0に近い確率の事故に遭ってしまったのでお気の毒であるが、今回の事故は、(直接的なきっかけが何であれ)JR西の体質がやはり根本原因であろうし、日本の鉄道の安全性が一気に崩れた訳ではない。むしろ、安全性に影響のない些細な日常のトラブルや失敗をことさらに取り上げて批判することは、JR西以外の他社にとってはマイナスにしか働かないだろう。

一体いつから我々は鉄道事業者に完璧を求めているのだろうか。人間はミスをするのがつきものだし、機械にもトラブルはつきものである。しかしそれらがすべて事故に結びつく訳ではない。「遊び」は必要なのだ。
大切なことは、些細なミスやトラブルを針小棒大に取り上げることではなく、技術面では、それが重大な事故に結びつく危険性があるものかどうかの適切な判断が現場できることである。そして経営面では、そうした現場の判断がきちんと経営側に伝えられて、適切な措置がとられるかどうか、ということである。

電車に乗っていると、先頭車両に乗らない、だとか、どこそこの場所は安全だ、などという会話を耳にする。
東京でだ。先頭車両に乗らないなどと戯言を言っているあなた、もう地下鉄日比谷線の事故のことは忘れたのかな?お莫迦で浅はかだと、車両の右側は安全で左側が危ない、などと言い出しかねない。もしもカーブが反時計回り(今回と逆)なら左側が相対的に安全なんだぜ。

このシリーズの最初の方で、先頭車両を緩衝車にして空で走らせろ、と述べてその後撤回したが、早々と撤回してよかったよ。そうでないと私もお莫迦の仲間入り(苦笑)。

事故などというものは、その発生状況において、すべて様相は異なる、という当たり前のことが、こういう熱狂状態だと見えなくなってしまうのだろうな。

(追記)
夜8:45のNHKニュースで、JR西の同じ電車が二度オーバーランしたと報じ、もう画面に出てきて欲しくもない村上恒美同社謝罪部長、もとい安全推進部長が、原稿棒読みした後頭を下げている様子を映し出した。

もういいよ。こういう報道とそれに追従するかのように、逐一オーバーランを発表するJR西の幹部の姿勢が、運転士に無用の不安材料を与えているのだ、ということがわからないのか。
こういう些細なミスを、鬼の首でも取ったかのように報道するマスコミ、特に放送局。ならば自社のアナウンサーの読み間違いをすべて謝罪せよ。

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コメント

私も最近の脱線事故報道にはいささか閉口してきています。ご遺族の方々の怒りや悲しみは察するに余りありますが、怒りをあらわにするご遺族の映像(同じもの)を繰り返し流すのはいい加減やめにしてもらえないものかと思っています。
社員個人を処分するより先にするべきことはいくらでもあるはずです。社長はじめ幹部職員も辞職する前に(今のところ辞職するとは言ってないようですが)事故の本質を明らかにし、会社の体質を変える対策を講じるべきです。

投稿: 安藤 幸 | 2005年5月 4日 (水曜日) 21時44分

トラックバックありがとうございます。ちょっと前に私のブログで100%という記事を書いたので、ここのURLに入れさせてもらいます。
<日本人は何事も突き詰めることをが好き。 だから、100%じゃないと気がすまない。 でも、100%確実なんてことはない。>

投稿: MO | 2005年5月 5日 (木曜日) 03時48分

フロレスタン様

コメント及び、TBありがとうございました。

また、ご親切にも、駄文中の誤記をご指摘頂き、大変感謝しております。

早速訂正致しました。
今後ともよろしくお願い致します。
それでは、失礼申し上げます。

投稿: JIRO | 2005年5月 7日 (土曜日) 13時19分

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受信: 2005年5月 4日 (水曜日) 21時46分

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受信: 2005年5月 4日 (水曜日) 23時35分

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どうも報道、特にテレビの報道の方向がおかしいと感じる。ご遺族の怒りや悲しみは当然 [続きを読む]

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