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2005年4月16日 (土曜日)

公共交通

東京都民でも、都営地下鉄というのはマイナーだから、4路線あって4路線とも線路の規格が違うことを知っている人はあまり多くないのではなかろうか。東京都交通局も大変だね。

浅草線…標準軌1,435mm 新幹線と同じレール幅 標準軌の京浜急行と相互乗り入れのため
三田線…狭軌1,067mm JR在来線や多くの私鉄と同じ幅 狭軌の東武鉄道と相互乗り入れ予定だったため。現在は同じ狭軌の東急目黒線と相互乗り入れ
新宿線…馬車鉄道と同じ幅の1,372mm このゲージの京王線と相互乗り入れのため
大江戸線…標準軌1,435mmだが、リニア駆動式でかつ車両が小さいため浅草線と互換性無し
これは、工事費を抑制するためにトンネル断面を小さくしたためである。

メジャーな地下鉄、東京メトロ(旧営団地下鉄)は工事中の13号線(池袋〜渋谷)を除いて8路線あるが、このうち初期にできた銀座線と丸ノ内線は標準軌である。しかし、電源が架線ではなく第三軌条と呼ばれる三本目のレールであるため、やはり浅草線などとは互換性がない。そして、それ以外の日比谷線、東西線、南北線、有楽町線、千代田線、半蔵門線は狭軌の架線方式で、いずれも私鉄と相互乗り入れしている。13号線も同じ規格で東急東横線、東武東上線と相互乗り入れが予定されている。

京王電鉄は、(別会社を買収した)井の頭線が狭軌と、これまた同じ会社で2つの規格を有している。
東急も、世田谷線という「路面電車」があって、その他の路線とは規格が異なる。
京成電鉄は、もともと1,372mmだったのが、浅草線、京浜急行と相互乗り入れのため、1,435mmにゲージを変更した。

でもって、東京にはこれ以外に、羽田空港に行く「東京モノレール」、レインボーブリッジを通る「ゆりかもめ」、多摩都市モノレール、都電荒川線など様々な規格の軌道系公共交通機関が乱立し、今も日暮里舎人線という新交通システムが建設中である。環8ルートを走るエイトライナーなんて構想もあったな(構想というより妄想に近いかも)。

おかげで、ネットワークはそれなりに充実しているのだが、乗り換えの度に運賃は初乗りとなってバカにならない(パスネットというプリペイド方式のカードで切符をその都度買う煩わしさからは解放されるが、これとてJRでは使えない)。車両の融通もきかないし(中古車両は地方や開発途上国で余生を過ごす)、乗り換えの移動も大変だ。そもそも、こんなに「鉄道会社」が乱立している都市というのは世界でも稀だ(他には京阪神くらいのもの)。そのうちの1社は最近、グループの「総帥」が逮捕されちまった。

翻って、ドイツあたりは郊外鉄道と都市内の路面電車も規格が共通のところがあって、相互乗り入れしている、という事例をシンポジウムのスライドによる発表で見せてもらったことがある。私は、何でもドイツがいい、などと思い入れをするお莫迦ではないつもりだが、いいものはいいよね。それにヨーロッパの鉄道は、おおむね標準軌(スペインなど一部で広軌)なのが羨ましい。一編成あたりの輸送力が大きいし、スピードも出せる。それにフランスのTGV(Train a Grande Vitesse)に見られるように、高規格の新線と在来線がごく当たり前に乗り入れできる。

日本の地方都市でも新型の路面電車であるLRT(Light Rapid Transit)の建設計画があちこちにあるが、コストを考えると現実的でない。制度や土地の所有状況なども異なるので、路面電車を撤去しなかったヨーロッパの上っ面だけマネをすることはほぼ不可能だ。具体的な案は「企業秘密」なので、ここでは披露しないけれど、バスにITを組み合わせるなど、現実的な解決策を考える方が賢明である。あちこちの自治体でワンコインのコミュニティバスが走っている。あれをもう一息、どうにかするのが第一歩だ。交通弱者対策などとアリバイ的に走らせているからショボいのであって、もっとビジネスライクに考える必要があるだろう。エネルギー効率を考えたら、都市におけるこれからの公共交通のあり方を真剣に考えて具体化するのは、待ったなしのはずである。

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コメント

首都圏の鉄道網のおかげで、遠距離通勤によるサラリーマンが住職分断で働いたので、発展した、という見方もできる。 個人がいつも犠牲だね、この国は。

豪州から来たビジネスマンが、地下鉄や鉄道網の稠密さを公共交通機関の発達水準の高さとして評価していた。でも裏を返せば、道路幅員の狭さや道路網のエントロピーマキシマム状態があるのだけれど。。。

投稿: スーパーTS | 2005年4月17日 (日曜日) 00時20分

「個人の犠牲」。まさにそのとおりです。
20世紀後半の用途純化の近代都市計画は、日本の大都市においはては、個人の犠牲の上に成り立っていたと言って過言ではありません。典型が長距離通勤の満員電車。

都心は商業業務地区に純化され、集積のメリットで企業は利益を受けて発展した。一方、個人はローンを背負って郊外の大して広くもない住宅を購入し、遠距離通勤を余儀なくされた。その肉体的精神的苦痛と時間のロスは計り知れないでしょう。おまけに、地域への帰属意識が低くて、コミュニティが崩壊しました。その本人も退職すると何も残っていない。

とこれだけでやめると、まるで共産主義者(笑)。
資本主義の世の中ですから、企業が利益を得られなければ個人の幸福もありません。

しかし、これまでのようなやり方が通用する時代ではなくなった。バブル崩壊後のプラス面として、都心の地価下落から、都心居住が進んだ。大地震による災害さえなければ、都心での用途混在と高密度化(無制限ではなくインフラの範囲内での合理的なもの)は歓迎すべきことです。

しかし、今のままだと、来年以降、日本の企業が外資に買収されたり、吸収されたりして、土地資産も食い荒らされる可能性があります。そうなると、また個人の住居は都心から追い立てられることでしょう。

外資の儲けのために都心の用途が商業業務系に再純化されるようなポスト近代の都市計画は避けねばなりません。しかし、経済分野と都市計画分野の隔たり、共通言語のなさが障害ですねえ

投稿: フロレスタン | 2005年4月17日 (日曜日) 13時22分

都心居住が拡大すると、今まで郊外といわれてきた所も過疎化(大げさな表現だが)する可能性がある。ウチの周辺では最近、35坪の建売が2000万をきる。アパート・貸しマンションから人が流出していく。

人口流入期やインフレ期には、リターンを生まない住宅もキャピタルゲインのための投資となったが、今や供給過剰で賃貸物件オーナーが打撃を受けている。

投稿: スーパーTS | 2005年4月17日 (日曜日) 15時44分

確かにその問題は存在します。
非常勤講師をしている大学では、担当している演習の時間に、宅地需要が減少するのだから、「農地の宅地化」ならぬ「宅地の農地化」があってもよい、という議論がありました。

かつては住宅地の供給源として郊外の地域の対策として、何らかの「公的資金」の投入があってもよいと思います。そうでないと、ゴーストタウン化した宅地群が不良債権になります。銀行や大企業だけが保護されるだけではいかんでしよう。ただし投入するための適切な施策の存在が前提ですが。

投稿: フロレスタン | 2005年4月17日 (日曜日) 17時16分

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